時間、お金、育児に悩んでいるひとり親(シングルマザー、シングルファザー)も多いでしょう。
しかし、国や地方自治体などが提供する「ひとり親が受けられる手当・助成金」制度を利用することで、負担を軽減できます。
この記事では、「ひとり親(シングルマザー、シングルファザー)が受けられる手当・助成金」を紹介します。
ひとり親が受けられる手当・給付金
ひとり親(シングルマザー)を対象にしたお金がもらえる制度です。
子どもがいるひとり親がもらえる手当
児童扶養手当は、ひとり親の安定した生活と自立を促進して、子どもたちの福祉を向上させることを目的に支給される手当です。子どもの人数と所得によって支給金額が変わります。
対象者 | 高校3年生までの子どもがいるひとり親 |
支給条件 | 所得制限を超えていない人 |
支給金額/月 | 子ども1人・・・0円~43,070円 子ども2人・・・0円~53,220円 子ども3人・・・0円~59,340円 |
所得制限 | 所得によって「全額支給」「一部支給」「不支給」の3パターン |
子供の人数 | 全額支給 | 一部支給 |
---|---|---|
1人 | 43,070円 | 10,160円~43,060円 |
2人目 | 10,170円 | 5,090円~10,160円 |
3人目~ | 6,100円 | 3,050円~6,090円 |
死別したひとり親がもらえる年金
国民年金または厚生年金保険に加入していた人が亡くなったときに、生計を維持されていた遺族が受けとれる年金「遺族基礎年金」です。ただし、亡くなったからといって必ず支給されるわけではありません。
対象者 | 死亡した人によって生計を維持されていた ・配偶者 ・高校3年生までの子ども |
支給条件 | 国民年金、厚生年金の保険料納付済期間が加入期間の3分の2以上ある (保険料免除期間を含む) |
支給金額/年 | 子ども1人・・・100万6,600円 子ども2人・・・123万1,500円 子ども3人・・・130万6,500円 |
所得制限 | 前年の収入が850万円未満 |
会社員のパートナーと死別した人がもらえる年金
厚生年金保険に加入していた人が亡くなったときに、遺族が受けとれる年金「遺族厚生年金」です。ただし、亡くなったからといって必ず支給されるわけではありません。
対象者 | 死亡した人によって生計を維持されていた ・妻 ・高校3年生までの子ども ・55歳以上の夫 |
支給条件 | ・厚生年金に加入している間に亡くなった ・厚生年金に加入している間に初診を受けた傷病で、初診日から5年以内に亡くなった |
支給金額/年 | 加入期間と所得によって変わります。 |
所得制限 | なし |
厚生年金の加入期間25年の目安額(賞与総額が月収の30%で計算)
- 標準報酬月額24万円・・・38万4,766円/年
- 標準報酬月額34万円・・・54万5,085円/年
- 標準報酬月額44万円・・・70万5,404円/年
40歳~65歳のシングルマザーは加算あり
中高齢寡婦加算は遺族厚生年金の支給を受けている妻に対する加算給付の1つです。夫が死亡したときに40歳以上65歳未満で子のない妻(夫の死亡後40歳に達した当時、子がいた妻も含む)が受ける遺族厚生年金には、40歳から65歳になるまでの間、年額585,100円(平成31年4月分からの金額)が加算されます。
ひとり親が受けられる割引・助成制度
ひとり親(シングルマザー)の割引、助成が受けられる制度です。
スキルや資格の取得に給付金がもらえる
ひとり親(シングルマザー、シングルファザー)の経済的な自立を支援するための制度「自立支援訓練給付金」です。
就職に有利な資格取得を目指して、スクールなどで指定講座を受講し修了すると給付金として支給されます。
対象者 | 20歳未満の子どもを扶養しているひとり親 |
支給条件 | 就業経験、取得資格の状況を考慮して、受講が必要であると認められること |
助成金額 | 受講費用の60% 12,000円を超えない場合は支給されません。 上限は年間200,000円(最大4年間で800,000円) |
所得制限 | 児童扶養手当を受給している、または同等の所得水準 |
資格を取得するための給付金がもらえる
高等職業訓練促進給付金は、ひとり親の方が資格取得を目指して修業する期間の生活費を支援する制度「ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金」です。
対象者 | 20歳未満の子どもを扶養しているひとり親 |
支給条件 | 養成機関において6月以上のカリキュラムを修業し、対象資格の取得等が見込まれる方 |
助成金額 | 訓練期間中、月額10万円(住民税課税世帯は月額70,500円) ※訓練を受けている期間の最後の1年間は支給額を4万円増額 訓練修了後、5万円を支給(住民税課税世帯は25,000円) |
所得制限 | 児童扶養手当の支給を受けているか、同等の所得水準(目安年収365万円未満)にある方 |
病院代や薬代が安くなる
ひとり親(シングルマザー、シングルファザー)の経済的負担を軽減するため、子どもまたは親が医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を自治体が助成してくれる制度「ひとり親家庭等医療費助成制度」です。
対象者 | 高校3年生までの子どもがいるひとり親 |
助成条件 | 医療費を負担する |
助成金額 | 各自治体によって変わる 例:東京都 住民税非課税世帯は自己負担なし 自己負担1割(月上限は、通院:1万8,000円、入院:5万7,600円) 年間の上限14万4,000円 ひとり親家庭等医療費助成制度(マル親)東京都福祉保健局 |
所得制限 | 所得が限度額以内 |
ひとり親が受けられる税金補助
ひとり親(シングルマザー)の所得税、住民税が安くなる制度です。
貯金の利息が非課税になる
遺族基礎年金を受けているシングルマザーが使える、預貯金や国債の利息が非課税になる制度「少額貯蓄非課税制度(マル優)」です。
預貯金の元本350万円までの利子が非課税になります。
通常は、銀行の定期預金や普通預金で発生した利息に20.315%の源泉所得税がかかります。
ただ、いまは銀行の利息でもらえるお金は微々たるものなのであまり意味ないですね…
所得税・住民税が安くなる
ひとり親(シングルマザー、シングルファザー)の生活支援のために、税制面から生活難を支援するために2020年(令和2年)に創設された新しい制度「ひとり親控除」です。
対象者 | 子供がいるひとり親 未婚のシングルマザーやシングルファザーも対象 |
助成条件 | 事実婚は対象外 |
助成金額 | 控除額は、所得税で35万円、住民税で30万円 |
所得制限 | 合計所得金額が500万円以下(年収で換算すると670万円程度) |
自治体によってひとり親(シングルマザー)が受けられる制度
他にも自治体によって、ひとり親を支援する制度がたくさんあります。
ディズニーランド・キッザニアなど3,000円割引される
ひとり親家庭が親子そろってレクリエーションを楽しんでいただくために、無料又は低額な料金で指定の宿泊施設および日帰り施設(遊園地等)を利用できる事業として「ひとり親家庭休養ホーム」があります。
東京都中央区を例に制度の内容をご紹介します。
中央区児童育成手当を受給している方を対象に、下記施設を利用したときに1人3,000円(年1回)まで補助されます。
- 東京ディズニーランド
- 東京ディズニーシー
- 東京ドームシティ
- 東京サマーランド
- サンリオピューロランド
- キッザニア東京
家賃が安くなる
住宅手当は、民間賃貸住宅に居住している場合に、家賃の補助・助成が受けられます。
※家賃債務保証料とは、住宅の賃貸借契約に当たって、家賃債務を担保するために家賃債務保証会社に支払う保証料のことです。
兵庫県神戸市を例に制度の内容をご紹介します。
対象者 | ひとり親 |
助成条件 | 居住面積が25平方メートル以上の新耐震基準に適合している住宅 公営住宅に落選したこと |
助成金額 | 家賃補助月1万5千円(最大) 家賃債務保証料補助6万円(最大) 最大6年間(一番下のお子様が18歳に達して以後、最初の3月31日まで) |
所得制限 | 世帯全員の所得合算額が市営住宅の収入基準(政令月収158,000円以下) |
他に制度を実施している自治体
児童育成手当(東京都のみ)
東京都独自の給付金制度で、ひとり親家庭など、子どもの健やかな成長を助成することを趣旨としています。
対象者 | ひとり親 |
助成条件 | 高校3年生までの子供がいる |
助成金額 | 支給対象児童1人につき月額13,500円 |
所得制限 | 所得制限を超えないこと |
公正証書等作成費補助金(川崎市など)
養育費に関する「公正証書」「調停調書」等の作成において負担した費用が補助されます。
対象者 | 川崎市在住のひとり親家庭で、20歳に満たない子の保護者 |
助成条件 | 養育費の取り決めの対象者となる児童を扶養している方 養育費の取決めに係る費用を負担した方 過去に同様の補助金を受けていない方 |
助成金額 | 上限額は5万円 ・公証人手数料(養育費の取決め以外の法律行為のみの手数料は除く) ・家庭裁判所に対する養育費請求、離婚の申立て又は訴訟に要する収入・印紙に係る費用 ・家庭裁判所又は公証役場に提出する戸籍謄本等の書類取得に係る費用 ・上記のものを家庭裁判所又は公証役場に提出するための郵送費に係る費用 |
所得制限 | なし |
他に支援がある自治体
長野県、横浜市、東京23区、さいたま市、船橋市、名古屋市、滋賀県、大阪市、神戸市、岡山県、島根県、佐賀県、福岡県など
養育費保証支援事業補助金(福岡県など)
養育費保証契約を保証会社と締結する際の本人負担費用(保証料)に対して、補助金が支給されます。
※養育費保証契約・・・養育費の未払いが発生した場合に、保証会社が立替、督促することを内容とする契約。
対象者 | ひとり親 |
助成条件 | 養育費の取決めに係る公正証書等を有している 養育費の取決めの対象となる児童を現に扶養している 保証会社と1年以上の養育費保証契約を締結している |
助成金額 | 保証料として負担する費用もしくは50,000円のいずれか少ない方。 |
所得制限 | 児童扶養手当の支給を受けているか又は、同様の所得水準にある |
支援自治体
養育費の受け取りを支援する事業を行っている自治体をご紹介します。
自治体によって要件が違うので、詳細はお問い合わせください。
北海道(札幌市、函館市)、秋田県、宮城県(仙台市)、福島県(南相馬市)、茨城県(つくば市)、栃木県(宇都宮市、栃木市)、群馬県(前橋市、桐生市、渋川市、伊勢崎市、安中市、太田市、町村部)、埼玉県(さいたま市、川口市、戸田市、杉戸町、狭山市)、千葉県(船橋市、柏市、千葉市、松戸市、いすみ市、市川市)、東京都(港区、品川区、豊島区、足立区、葛飾区、目黒区、文京区、杉並区、江戸川区、北区、狛江市、府中市、小金井市、西東京市、立川市、清瀬市、調布市、国立市、三鷹市、町村部)、神奈川県(川崎市、横須賀市、横浜市、相模原市、綾瀬市、平塚市、)新潟県(長岡市、新潟市)、静岡県(浜松市)、愛知県(立市、大府市、犬山市)、三重県(松阪市、伊勢市)、滋賀県(甲賀市、湖南市、近江八幡市、栗東市、守山市、大津市、東近江市、県内6町)、京都府(向日市)、大阪府、兵庫県(神戸市、姫路市、三田市、丹波市、西宮市)、和歌山県(紀の川市、新宮市、岩出市、和歌山市、海南市)、岡山県(笠岡市)、広島県(三原市)徳島県(徳島市)、香川県(高松市、坂出市)、福岡県、佐賀県、熊本県、宮崎県(宮崎市、日南市)、沖縄県
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